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ワールドカフェって何?ーボトムアップで組織を活性化ー

ワールドカフェって何でしょうか?ちょっと昔に研修などで多く行われていましたが最近あまり聞かなくなったような気がします。。しかし、今の時代に合っているのではないかと思いますので改めておすすめしたいと思います。

ワールドカフェとは何なのか

ワールドカフェは対話手法のひとつです。1対1ではなく、立場の違う大勢の人たちの意見を交換するために行うと良い効果が期待できます。(良い効果は後述)比較的大勢で行う意見交換のスタイルには「会議」や「ミーティング」などがありますが、声の大きい人、立場が上位の人など発言力のある人の意見に引っ張られてしまいがちではないでしょうか。

ワールドカフェは4人から5人程度の人数でいくつかのグループ(島という言い方をします)に分かれて一定時間意見交換(対話)を行います。そしてグループ間でメンバーをシャッフル(移動)し、いくつかの島を移動して対話を行います。

移動先の島では前の島であったことを共有し、また新しいメンバーで対話を行います。

前の島での出来事を改めて話すことで気づきを得たり、新しいメンバーの意見が融合して新しい視点を得ることができます。

これを繰り返すことで、その場に集まった大勢の出席者がその場の意見全てを共有でき、そして島を行き来して色々なメンバーと対話を行う事で一体感を感じることができます。

ワールドカフェでは「飲み物」「つまめるお菓子」「カラフルなペン」などを使ってリラックスした対話が行われるように仕立てます。そしてグランドルールという最低限のルールのみ提示され、あとは自由に対話を楽しみます。このような工夫もあり、更にみんなで楽しくおしゃべりしながら一つのテーマについて考えるので一体感が生まれやすくなります。

ワールドカフェはどこからきたのか

ワールドカフェはアメリカのアニータ・ブラウン氏とデイビッド・アイザックス氏によって1995年に提唱された、対話コミュニケーションの手法です。二人が参加するはずの会議が偶然の雨によって会場に入る事が出来ず、カフェで他の参加者と共に出席するばずの会議のテーマについて紙ナプキンにメモ書きをしながら話をしていたところ、周りのテーブルにも同じく参加者が話をしていたのでどんな話をしているのか聞きに行って、お互いテーブルを行き来し、参加者同士で有意義な対話が行われたことがきっかけとされています。

カフェというオープンな空間でお茶を飲みながら自由に対話を楽しみ、参加者がそれぞれ気づきを得た、これを再現するのがワールドカフェです。

ワールドカフェの良い効果

ワールドカフェは通常の会議や研修と違い、参加者の対話を主体に進められます。決まっているのはグランドルールとテーマのみです。最後に何かを決める必要もありません。

ですので以下のような良い効果が生まれます。

1、普段あまりしゃべらない人でも発言しやすいので全員が参加したと感じ、多くの意見を吸い上げることができる

2、最後にまとめる必要が無いので、自分の意見(気づき)を大切にすることができる

3、前向きな発言であれば制限がないので、自由な発想が生まれやすい

この1と3の効果はイノベーションが重要とされる今の時代に合っています。そして、2では主体性が育まれます。ワールドカフェでは立場も職位も違う参加者たちがフラットに対話を行うので、例えばなかなか表に出にくい若手や少数派(マイノリティ)の意見が出やすくなります。

 

ワールドカフェ事例

上記のような効果から、教育総研が今までに行った事例をご紹介します。

1、新入社員研修でモチベーションアップワールドカフェ

I病院の新入社員研修で行う新入社員研修ではプログラムの最後にワールドカフェを組み込みます。

テーマは「僕たち私たちの未来のI病院」。まだ何色にも染まっておらず、就職という人生の大きなステップを上る新人職員たちが自分達の職場に対して夢を描くセッションです。

毎年すごいアイデアが生まれます。その中でもさすが病院に就職するだけあって、地域の人たちの笑顔や暮らしやすい街づくりの一端を担うI病院の役割などが盛り込まれ、最後に画を書いていただきますがとても楽しくてワクワクする地域像が描かれます。

締めくくりには、そんな未来の地域に貢献する病院を皆で創っていってくださいというエールを贈ります。参加される新人職員の方々はキラキラした笑顔で新生活のスタートを切るモチベーションアップワールドカフェ研修です。

2、N社の若手社員のための向上心醸成ワールドカフェ

N社の若手社員の研修会導入パートでワールドカフェを行います。テーマは「地域社会に貢献するN社のために」。各地から集められた若手社員の方々は3日間の集合研修を行います。その初日のキックオフ研修としてワールドカフェを組み込みます。初めて会った参加者同士の緊張感で初めは張り詰めた空気感ですが、リラックスできるアイスブレイクなどでファシリテートを行い場を和ませます。まず、研修会の目的や、N社の社会的意義、今後の発展についての必要性などをインプットし、テーマへとマインドセットを行います。大テーマから小テーマを3つ設定し、小テーマでは段階を経て大テーマへつながるように仕立てます。

参加された若手社員の方々は最初は自分達の拠点での話で盛り上がりますが、徐々に「そんなのもいいね」「そういうのもあるんだね」「じゃぁこういうのもいいよね」というように化学反応が起こりだします。その化学反応を「どうしたら実現できるか」という話に発展し、そのために自分たちがもっと成長したい、こんなスキルを身に付けたい、という意見が出ます。ワールドカフェが終わるころには20名ほどの参加者同士に仲間意識が芽生え、同じ向上心を持った同志というコミュニティーが形成されます。これからを担う次世代の期待の人材として、向上心を育むワールドカフェになっています。

ワールドカフェ活用で組織を活性化

このようにワールドカフェでは、参加者の自由な意見交換が行われ、モチベーションが上がる手法です。

モチベーションが上がると主体性が醸成されます。このことから以下のような活用で組織の活性化に効果的であると思われます。

1、通常トップダウンが多くなりがちな自治体などで、ボトムアップで職員から意見を吸い上げることで職員のモチベーションを向上し本来の力を発揮する。上位下達では生まれにくい発想力を活かした施策をワールドカフェで生まれやすくし、実施する職員のやる気を引き出す。

2、先が読みにくい環境下では大胆でイノベーティブな発言が出しにくい。しかし、企業や組織に求められているのは「イノベーション」。イノベーションは「新結合」自由な発想を口にできるワールドカフェの場での発言と発言から新しい組み合わせのイノベーションが起こることが期待でき、また、それを推し進めていくためにもメンバーのモチベーションを上げて主体的に行動していく動力になる。

特に若手の早期離職を防ぐためにはチャレンジする場を創出することが効果的。ワールドカフェで若手の意見を採用し、若手が期待されているということを組織的に明言することができる。

まとめ

ワールドカフェは多様な意見が組織の力になる「今」、再注目すべき手法だと思います。若手育成やダイバーシティ活用、地方創生など、色々な場面で活用できます。何よりこんなにも受講された方から「楽しかった」という感想が聞けるプログラムは無いのではないかと思うほど、皆さん楽しんで活き活きと参加されているのが印象的です。

 

教育総研ではワールドカフェを組み込んだ研修や人材育成プログラムをご提案させていただきます。お気軽にお声がけください。

 

 

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