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新入社員の早期離職防止と早期戦力化~新入社員研修実施の前と後~

社員の採用コストは「経費」ではなく「投資」です。事業活動上、投資するからには見合ったベネフィットが必要です。「2023年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によれば採用コストは1社あたり平均約298.7万円というデータがでています。(ちなみに上場企業では平均771.9万円です!)

最近は就職情報サイトを採用に活用されている企業が多いので、各社かなりのコストをかけているという事が分かります。だからこそ1年や2年と戦力化しないうちに退職されてしまうとそのコストが丸ごと無駄になるのではないでしょうか。。。この記事ではそんな採用コストをきちんと事業活動に活かすために早期離職防止早期戦力化について考えてみたいと思います。※早期離職とは3年以内に退職することを指しています。

どうして早期離職防止と早期戦力化が必要なのか

早期離職は企業側、そしてその本人双方にあまりメリットの大きくなるものではありません。企業側としては2年程度は「新人」扱いで、まだまだ一人で稼げるようにはなっていません。日々業務を教えることの方が多く、先輩社員の時間(コスト)を使っている状態です。3年以内で退職するという事は「業務経験値が浅い」「業界知識は一通りだが熟知しているとは言えない」状態なので、本人にとっても転職市場では「若さ」だけが売りになる程度です。日本社会ではまだまだ「どうして3年”もたなかった”んだろう」というネガティブイメージが勝ってしまいます。転職に有利になるほどの輝かしい成績を得ることは時間的に無理だと考えられます。

戦力化については言わずもがな。かけた高額な採用コストをできるだけ早く回収してプラスに持っていくぐらいの働きをしてもらいたいものです。早期戦力化とは、言い換えれば「できるだけ早く一人前になって先輩の時間(支援コスト)を使わないようにしてほしい」ということになります。特に指導役の先輩社員の手が後輩のお世話から外れると、その社員のパフォーマンスが上がり、チームや組織の生産性が向上することになります。特に、お世話係の先輩社員は手本にしてもらいたい優秀な社員である場合が多く、その社員が業務に集中できるようになることは組織として望ましい状態です。

どうすれば早期離職防止と早期戦力化が叶うのか

求人情報サイト運営会社BizHitsの「新卒1年目の転職理由ランキング」では1位「人間関係が悪い」2位「長時間労働・休日への不満」3位「仕事内容が合わない」でした。一概にはまとめられませんが、仕事は「人と人」が行うもの。やはり「コミュニケーション不全」からくるものが多いのではないかと推察できます。もう一つは「知識の不足」と考えられます。就職活動中は企業も学生もお互い一生懸命だと思います。企業側は学生に色々と知って欲しい、学生側は内定が欲しいので精一杯背伸びする。お互いいい所しか見えない状況です。結婚や恋愛に例えることが多い就職活動ですが、まさにそういうことだと思います。結婚して一緒に生活して初めて見える、分かることがあります。その時、じゃあ離婚しましょうというのが「退職」です。その前にお互いに歩み寄り、分かり合うために努力することがひつようなのではないでしょうか。それは就職の場合、新人若手社員の方が立場も弱く知識の量も少ないので企業側が多めに歩み寄る必要があると思います。

そのためにお勧めするのは「オンボーディング」と「1on 1」です。

オンボーディングとは新人若手社員など対象の社員が早期に成長ができるようにサポートする研修やトレーニング、環境整備などの施策を指します。役職者向けに実施されることが多くありましたが最近では新人、若手対象に実施されることも多くなってきました。

1on1は導入する企業が増えてきましたが、1対1で定期的に行われる短いミーティングを指します。仕事の進捗を確認するためだけではなく、本来は仕事以外のことを話し、コミュニケーションを密にすることで関係性を良好にするために行うものです。

新入社員研修の「前」にしておきたいこと

新入社員研修の「前」にしておきたいことは1on1ミーティングを行うための準備です。新人が配属される各部署で試験的に1on1を実装し、まずは部門内、チーム内のコミュニケーションを良好にしておくことが良いでしょう。配属前に行うことで新人が配属してきた時にそれまでの経験を活かしてスムーズに1on1を運営することができます。事前に1on1の「聴く役」の上司へ「1on1ミーティング研修」を行っておくことも大切です。1on1は1対1の面談でも無ければヒアリングの場でもありません。目的と進め方、言葉がけのコツなどの知識はインプットが必要です。

その他、部門全体でコミュニケーション研修を行うことも有効と思われます。直接接するお世話係の先輩社員には「OJTリーダー研修」「部下指導研修」などを受講させることも必要です。ただ、新人の早期退職防止と早期戦力化というピンポイントの成果のためには職場全体が良い雰囲気であることが必要ですので、その風土づくりに影響力を発揮する上司へのインプットが重要です。

新入社員研修の後はどうする

余剰人員のあまりない中小企業では特に新入社員のお世話は配属部署の先輩社員に任せがちになります。これは様々な良くない影響が出てきますので、特に避けたいことです。理由は以下の通りです。

✓お世話係はできる社員になることが多いので、その社員のパフォーマンスが下がるとチーム全体の成果に影響が出る事が懸念される

✓育成を先輩社員に任せると属人的になってしまい成長に偏りが出ることが懸念される

✓マッチングが良くないと早期離職の引き金になることが懸念される

オンボーディングは新入社員がスムーズに職場や仕事に慣れ、その後の成長をスピードアップさせるための施策です。新入社員研修の後も「オンボーディング」の一環として半年程度の期間中は定期的に基本的なビジネススキルや業界の知識、専門スキルを付与することが望ましいカタチです。

例1)2週間に1度程度新入社員を集めてビジネススキルの定着のためのフォローアップ研修を実施する

例2)Eラーニングプログラムを自主的に学習できる環境を整備し、就業時間内に(例えば1週間に2時間など)自主的にインプットする機会をつくり、上司へ報告する、業務上でアウトプットするなどインプットとアウトプットを回す仕組みを作る

オンボーディングは決まったプログラムがあるわけではないので、自社の都合や状況に合わせて作り込むことができます。ポイントは①一定の長期間をかけてしっかりと教育する。②オンボーディング中であることへ周囲の理解を得、社内協力体制を整える③新入社員本人にもオンボーディングの目的を理解してもらう、の3点です。

まとめ

「新入社員研修の前と後」としてお伝えしたかったのは、新入社員育成は新入社員研修だけでは不十分であるということです。せっかく縁あって入社した未来のリーダーです。できれば組織に貢献し、それが自らの成長を実感できる「やりがい」になれば本人にとっても組織にとっても幸せな事だと思います。

新入社員研修の計画をきっかけに、全社の社員教育施策や組織力強化を検討されるのであれば、是非教育総研にお手伝いさせてください。未来のリーダーが活き活き活躍できる会社のために、教育総研は伴走支援を行います!お問い合わせはお気軽に。皆様のご連絡をお待ちしております。

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