トピック

効果的な人材育成で採用コストを下げられる⁈

人材紹介業界が活況です。新卒であっても人材紹介エージェントを介すことが当たり前になってきました。御社では採用コストはどれくらいかかっているでしょうか。

「就職白書2020」(就職みらい研究所 株式会社リクルート)によれば、2019年度の新卒1名あたりの採用コストは93.6万円、中途採用では103.3万円となっており、2018年年度からは新卒で約30%、中途採用では約25%増加しています。人手不足の環境下では今後もこの傾向は継続すると思われます。

そして若年層の離職率は未だに大卒で3年離職率が3割と、採用コストをかけて人を増やしても足元から辞めてしまうという、なんとも報われない現実であると推察されます。

まるで穴の開いたバケツに蛇口から水を注ぐようなこの状況をなんとかしたいとお考えの人事担当者の方に、この記事では改善策をご紹介します。

穴の開いたバケツに水を溜めるには2つの方法があります。一つは「穴から出てしまう水よりも大量の水を注ぐべく蛇口を全開にすること(大量採用)」、そしてあと一つは「バケツの穴を小さくすること(離職防止)」です。おすすめはやはり後者の「バケツの穴を小さくすること」です。

では、バケツの穴を小さくする=離職を防止するためにはどうしたらよいのでしょうか。

改善策① 若年層向けには手厚い育成計画を実施する
今の若年層は育成に時間をかけることが効果的です。時間をかけるのは「心理的安全性」と「組織との繋がり」を創出することが狙いです。
組織との繋がりとは物理的なものを指すのではなく、感情的な繋がりを意味します。毎日出社させて上司先輩の横で常に声をかけられる状況に置く必要はありません。組織的に時間をかけて育成プログラムを実施することで組織の期待度を示し、すぐに成果を出すことを求めていないことを「長期育成期間」を設けることで理解を促します。物理的な繋がりではないのでテレワークであっても可能です。

育成プログラムとしては「オンボーディングプログラム」があります。
オンボーディングとは、「乗船」「機内」と訳される言葉です。船や飛行機に乗っている事を指しますが、人材育成においては社員がスムーズに組織で活躍できるようサポートするプログラムを意味します。3カ月から半年程度の期間を設定し、間隔をあけてプログラムを数回実施する形式で行います。

改善策② 若手、ミドル層には勤務の柔軟性を高める
次代の組織を担う期待の若手、ミドル層は特に離職されては困ります。その層を中途採用するのは採用コストも高額になりますし、優秀な人材となると獲得は至難の業です。そして苦労して採用しても企業文化になじまずにすぐに離職するリスクも払しょくできません。若手、ミドル層は特に離職を防止する策を講じなければなりません。


ホワイトカラーの約4700人を対象にアメリカで行われた研究では、勤務の柔軟性(勤務地・スケジュール・仕事量・チーム・プロジェクトの自由度)が高い従業員の53%は組織との繋がりが強いと回答し、柔軟性の低い従業員では18%という結果になりました。繋がりが強いと答えた従業員は、そうでない従業員よりも37%も高い成果を上げる貴重な人財です。そしてその従業員は会社に留まる可能性が36%高いとこの調査研究では示されています。
例えば、テレワークの日数など、一律に決めてしまうのではなく、対象者が自由に選べるようにすることも一考に値すると言えます。勤務の柔軟性を低めることで真っ先に転職をしてしまうのは自社の有能な人財です。

テレワークやその他の自由度を高めることで課題となるのは「いかにマネジメントするか」です。新しい働き方へと環境は変化しています。マネジメントも新しい形へと進化する必要があります。

マネジメントでは「対話」「コミュニケーション」が重要です。
プログラムとしては「1on1ミーティング」に関するものがマネジメントに役立ちます。1on1とは、単に話し合う時間を設けるだけではすぐにフェードアウトしてしまいます。する方もされる方も目的を共有し、有意義な機会であるとの共通認識が必要です。とは言え、する側の上司は1on1ミーティングについいての知識とコミュニケーションスキルアップが必要ですので「1on1ミーティングの進め方研修」などで学んでから導入されることをお勧めします。

改善策③ 研修効果を高めるフォローアップを行う

研修はカンフル剤。受講してしばらくするとすぐに効果が薄れてしまう。。

とはよく聞かれる言葉です。これは研修を実施する側としても大変残念なことです。研修効果をなるべく持続させるには、そして成果に繋げるためにはどうしたら良いのでしょうか。
それは、フォローアップを行う事です。

せっかくコストをかけて研修を行ったのであれば、それを部門内、チーム内で共有し、例えば1on1で経過を共有する、目標を設定する、上司が伴走支援を行うなど社内でのフォローアップの活用方法はたくさんあります。社内フォローアップで活用できるフレームとしてはKPTシートの活用などがお薦めです。

KPTシートの活用・・Keep(上手くいったことや継続すること)/Problem(上手くいかなかったことや今後は取りやめること)/Try(今後挑戦したいこと)の3つの箱で構成されたフレームで行う振り返り手法。


そして一定の期間を空けてフォローアップ研修を行う事で、更に学びが深まり、業務上上手くいかないと感じている課題を解決することも可能です。
教育総研では長期間のプログラム実施時は次回研修実施までの期間中のメールでの質疑応答を行っています。メールでの質疑では具体的な内容に及ぶことが多くあり、具体的なアドバイスを講師より受けることができます。

社員の離職防止は今注目されているパーパス経営にとっても重要です。新しく採用した社員にパーパスを理解してもらうよりも、既に自社のパーパスに理解がある社員にパーパスをより深く理解してもらう方が容易です。

せっかく縁あって長年付き合ってきた社員を大切にするためのコストは採用コストよりもはるかに低く済みますし、社員との繋がりを強くすることは離職を防止し、成果を上げることに役立ちます。
改めて御社の社員育成を考えてみていただければ幸いです。

人材育成に関するご相談はお気軽にお問合せ下さい。皆様からのお問合せをお待ちしております。

PAGE TOP