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ベトナム人高度人材育成課題別解決策①コミュニケーションが上手くいかない、、

日本企業のベトナム進出はコロナ禍でも増加しています。拠点を拡大、増設のニュースをよく目にします。アフターコロナを見据え、活動が活発化しているようですね。
ハコを作ったら次はそこで働く人が課題となります。「企業は人なり」現地雇用のベトナム人にマネージャーになってもらうためには育成が必要です。

今回はマネージャー候補となるベトナム人高度人材の「困った」課題別に解決策を考えてみたいと思います。日本国内でも今後ますますベトナム人社員の雇用が増えると思いますので、ベトナム人を雇用されている企業様にも参考になる解決策をご提案します。

1.コミュニケーションが上手くいかない、、

ベトナム人に限らず、外国人雇用で頭を悩ませるのが「コミュニケーション」です。このコミュニケーションは指示に対して作業が正確に行われない、進捗状況の把握ができないといったことにつながる大変困った問題です。
「出来上がったと報告してきたから確認したら全然違ってた、ということは言ったことを理解できていないのだろう」
「外国人部下の日本語力が不足していて、言っていることがよく分からない」
コミュニケーションは双方の働きかけで成り立ちます。伝える側も受ける側も努力が必要です。

●伝える側が日本人の場合

・主語を省略しない 
例)「これやっといて、前と同じな感じでね」→「A社さんへの発注作業、前月(例えば2月)の発注と同じだから日付だけ今月(3月)に変えて作成して、先方の担当者のCさんにメールで送っといてね。送った後、Cさんに「メール送りました」と電話を必ずしていおいてね。あと、発注データの入力もお願いします。終わったらチャットで私に報告入れておいてください。」
ものすごく長くなりましたが、これくらい細かく伝えれば日本語力が不足していても理解してもらえます。日本語は主語を省略してしまう言語ですので、相手の思い込みを排除するためにきちんと主語、できれば固有名詞などを使って伝える必要があります。

・一つ一つの作業で句読点を意識して伝える
上記の例文では「発注作業」を順番に伝えています。
①前月の発注伝票の日付を今月に変更する
②発注伝票はメールで送る
③メールした後確認電話を入れる
④社内データへの入力作業を行う
⑤チャットで報告する
日本語は一文が長くなりがちです。日本人にとっては負担が少ないのですが、外国人にとっては非常に分かりにくく感じます。なるべく一文を短く作業単位で区切りましょう。

・Google翻訳で翻訳できそうな単純な構成にする
あなたの日本語をGoogle翻訳にかけたことがありますか?日本語の構成は非常に複雑で、データが多くたまっているはずの日本語→英語翻訳でも上手くいかない事があります。
先ほどの例文をGoogle翻訳にかけてみましょう。
Since the ordering work to company A is the same as the ordering of the previous month (for example, February), please change the date to this month (March) and send it to Mr. C, who is in charge of the other party. After sending it, be sure to call Mr. C saying “I sent an email”. Also, please enter the order data. Please let me know by chatting when you’re done.
こうなります。なかなかいい感じです。
これやっといて、、では何が何だかGoogle翻訳も困ってしまいます。
Google翻訳で正確な英語に翻訳してくれるかどうかは目安になります。

●伝える側が外国人の場合

さて、伝える側が外国人の場合はどうしたらいいでしょうか。

・日本語の語彙力を上げるよう支援する
学校ではビジネス日本語はほとんど学ぶことはありません。習ったとしても簡単な言葉だけです。JLPTは日常会話が中心なので、入社してから初めて聞く言葉が多く、ベトナム人はじめ外国人社員は大変戸惑っています。しかも会話に盛り込まれては理解できないことも仕方がないと言えます。
これは本人の語彙力を高めるしかありません。
頻出ビジネス語を一つ一つ解説しながら教えてあげる必要があります。

そんな時間の無い方はEラーニングで語彙を学ぶ機会を提供して自己学習してもらうという手があります。例えば、教育総研のEduOsakaは動画とテキストがあります。動画では会話の中でどのように使われるのか、音声から学ぶことができます。
ベトナム人は耳が良い人が多いので、音から学ぶことは大変効果があります。(やっぱりベトナム語自体の発音が難しいからでしょうね、、)
テキストにはベトナム語解説付きの用語集があり、使い方などを学んでいただけます。

NHKラジオの「実践ビジネス英語」で有名な杉田 敏先生は著書の「英語の新常識」(インターナショナル新書)で「語彙が貧弱だと知的な会話はできませんし、英語を通じての知識の吸収も効率的に行えません。」「・・・(省略)カタコト英語に毛が生えたようなものを話していたのでは、教養のある人とは認めてもらえないでしょう」と書かれています。
管理職候補と期待する高度人材だからこそ、語彙の学習は本人任せにせず会社もサポートする必要があります。

●受け手側が日本人の場合

コミュニケーションにおいて、受け手側は「受け身」ではなく、「積極的に聴く」事が必要です。主に以下の3つの行動を取るようにしましょう。
①相手が理解できそうなレベルの言葉を使って復唱確認する
②足らない情報を訊く
③適度にあいづちを行い、穏やかな表情を心がけ(びっくりするような報告でも)、相手が話しやすい雰囲気をつくる

ベトナム人(外国人)社員にとって、日本語は外国語です。外国語で話すには少なからず神経を使います。良い仕事をするには良いコミュニケーションが必要なわけですから、こちらも良いコミュニケーションにするお手伝いをしましょう。

●受け手がベトナム人の場合

受け手、つまり聞く側がベトナム人(外国人)の場合に大切なことは、「正しく理解できたかどうか」です。
常日頃、「分からない事は質問していいんだよ」「その場で分からない事が思いつかなくても、あとで思いついたらすぐ聞きに来てくださいね」と何度でも言い聞かせておく必要があるでしょう。
そして「メモ」を取ってもらうことをマストにしましょう。
メモは母語で取るようにしてもらいます。後で復唱するときに自分の言葉で言うためです。復唱とはリピートではありません。リピートできても内容を理解しているかどうかは不明です。それよりも母語でメモを取ることで本当に自分が理解したことを「メモ」してもらうことです。

母語でメモを取ることは理解できているかどうかを確認できることの他にもう一つメリットがあります。それは「スピード」です。

慣れない日本語でメモを取るより書きなれた母語でメモを取る方がスピードアップできます。簡単な内容の指示なら良いですが、管理職候補の高度人材ともなれば仕事のレベルも高いものを扱うようになります。すると内容は複雑になりがちですので大量のメモをスピーディーにとることができる事は大変重要です。

 

今回は課題別解決策①としてコミュニケーションを取り上げました。
次回は課題別解決策②「口頭での指示が正しく伝わらない、、」についてお伝えしたいと思います。

教育総研は未来のリーダーを応援します。
皆さんの会社の高度人材の方々が日本の会社で活躍されることを心から願っています。
次回をお楽しみに!

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